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量子ドット ディスプレイ
量子ドットは、多くの点において、大面積フラットパネルディスプレイ用の LEDに導入するのに理想的な発光団(luminophore)です。量子ドット発光は、広い電磁波スペクトル範囲で調節が可能であり、最適な量子ドットを選択すると、可視光スペクトルのほぼ全域である、470 nmから640 nmの光を発光することができます。赤外発光の量子ドットもあります。量子ドットの発光は、可視光スペクトルの全域で調節が可能であるため、フルカラーフラットパネルディスプレイに必要な、唯一の発光団となりえます。
さらに量子ドットは、他の発光団では不可能な、量子ドット特有の性質を持ち合わせています。理想的な有機EL発光団とは、光ルミネッセンス量子効率が高く、電気的に生じた励起子の100%が発光でき、溶液処理が可能で、安定性と色差安定性(発光色が異なる同種類の発光団同士を比較したとき)が極めて高いものとされます。ポリマー、デンドリマー、蛍光性低分子、燐光性低分子のいずれについても、精力的な開発が行われてきましたが、工業的ニーズを完全に満たす単一の素材を得るには至っていません。量子ドットは、これらすべてのニーズを同時に満たす可能性のある、新たな発光団です。
また、量子ドットは、発光スペクトルが狭いため、色域が極めて広くなります。これにより、量子ドットディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイ(OLED)よりも、色飽和度を高められる可能性があります。量子ドット LED は無機発光体であるため、ほとんどの有機発光材料よりも、はるかに安定的です。最適化された量子ドットディスプレイは、明るく高効率で長寿命であるため、液晶ディスプレイや有機 EL、プラズマディスプレイとは大きく差別化される可能性を持っています。