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量子ドット フォトニック結晶
フォトニック結晶(photonic crystal)とは、屈折率が周期的に変化するナノ構造体であり、その中の光(波長が数百-数千nmの電磁波)の伝わり方は、ナノ構造によって制御できます。例えば、1μm未満の空気穴を周期的に配置することなどによって、屈折率が光の波長と同程度の周期で変化する、ナノ周期構造があります。この構造により、光が内部に閉じ込められたり、侵入を阻止されたりすることによる、光学的な現象を生じます。例えば、自然界の蝶の羽や、オパールなどの宝石の一種は、見る方向によって光沢が変わり、キラキラ輝く構造色を持ちますが、これは自然界で形成された、ナノ周期構造の光の侵入阻止効果によるものです。完全な周期配列を使って、電磁モードの存在しない周波数領域(フォトニックバンドギャップ)も作り出すことができ、また、周期配列の一部に、意図的に構造の乱れを導入することで、空間的にも周波数的にも孤立した、電磁モード(局在モード)を生み出すことも可能です。フルバンドギャップを利用すると、光を局所的に閉じこめることができ、フォトニック結晶は、光の自然発光レートを自在に制御する量子光学系のツール、将来の量子コンピュータなどへの応用も期待されています。
フォトニック結晶の作製法には、(1)ポリスチレンやシリカの微小球の3次元堆積(人工オパール)、 (2)リソグラフィーによる半導体の2次元、3次元加工、 (3)スパッタリングによる誘電体多層膜、 (4)切削加工、(5)光造形 などが用いられます。フォトニック結晶スラブの今後の展開にとって、半導体量子井戸や量子ドットなどの、発光材料の導入は非常に重要です。特に、離散化された電子準位をもつ量子ドットを利用することにより、半導体レーザーのような従来型の光源に加えて、量子通信の実用化に必須の単一フォトン光源や、量子計算の基本演算素子である量子ビット、あるいは、大きな非線形効果を利用した光スイッチや、光論理演算素子の実現が期待されます。